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2007年08月28日
空気のきれいなところはアトピーが軽い
私は、年数年、長野県に私のファンが大勢いますので、日程をやり繰りして健康相談に行きます。
その中に、30人あまりのアトピー患者さんがいますが、興味深いことに、全員が30年前の古いタイプのアトピー性皮膚炎であり、年齢的にも乳幼児・小児で、症状も四肢好発部を中心とする非常に軽い患者さんで、成人アトピーの数も非常に少なく、かつ大都市や工業都市でみられる私の病院へ入院を必要とするような重症のアトピー皮膚炎患者は1名もみつかりません。
もう一つ、私が環境汚染説に非常な自信をもったエピソードをご紹介しておきます。
約3年前、奈良県生駒の20歳の男性(表6の第1例)で、全身が象の皮膚のような重症患者がいました。
足摺岬にほど近い私の病院に入院させて、軟膏治療を行うと改善されますが、退院後も同じ治療をしているにもかかわらず徐々に悪化していきました。
この患者さんは重症アトピー性皮膚炎を反復するため、満足に仕事にも就けず収入もありませんでした。
気の毒に思った私はこの青年に、こう提案してみました。
「なんだったら、一度私の病院に勤務してみるか。うちへ来ると良くなるし、あなたも経済的に助かるだろうし」。
この青年は、すぐ私の病院に就職して、就職後3-6ヶ月経った頃には軟膏治療もほとんど必要なくなっていました。
もう一例(表6の第2例)、名古屋の20代の娘さんでした。
これも私の病院に入院すると良くなり、退院すると首から顔面にかけて糜爛、湿潤したひどい症状を反復していました。
この娘さん、ある時名古屋に帰っていて、私と名古屋で会った時に、非常に皮膚炎が改善されていたことがあったのです。
塗っている軟膏など全然変えていません。
その娘さんにどいう変化があったのかといろいろ問診してみますと、彼女が数日前まで2週間ほど沖縄の友人の家に行っていたことを突き止めたのでした。
以上の事柄から、私は、アトピーの重症化は絶対に環境汚染が主な原因であるという確信を持ったのです。
さらに、先に挙げてきた科学的な検査結果からも、環境汚染説を口を酸っぱく唱えるようになったのです。
現在、私の病院は成長期にありまして、従業員数がどんどん増えて来ています。
その中に、なんと10名の元重症アトピー患者(入院すると改善し、退院すると徐々に悪化を反復)がいます。
表6にまとめて表示してありますように、全員が生駒の青年のように入院後3ヶ月以内にほとんど治療の必要がなくなっています。
2007年08月16日
環境汚染度と重症アトピー患者数は比例する
図3をご覧ください。
これは、私の病院に全国各地から入院するために来た何百人もの重症アトピー性皮膚炎患者の出身地別分布図です。
この中で、まず、全国ナンバーワンは名古屋中心の中京地区と、岡山ー広島近辺の瀬戸内沿岸石油化学コンビナート工業地域です。
これは、先ほど申しましたように、NOxを排出する石油化学工場がこの両地区に密集していることでも納得がいきます。
そのうえ、中京地区は同じくNOxを大量に含む排気ガスを排出する日本一の豊田自動車工場があります。
また、岡山ー広島にはその上、同じくNOxを排出する日本一の製鉄工場(福山の日本鋼管)があります。
続いて、重症患者が多いのは東京、大阪近辺で、これは工場のせいもあると思いますが、大半は何百台もの住民の自動車と、また、そこを通過する何千万台の自動車の排気ガス(やはりNOx)が原因と思われます。
あまり都市化していない地域でも、高速道路の近辺にすむ患者さんに時おりアトピー患者さんがいます。
その他、比較的重症患者の多い地方として、苫小牧、富士市、伊予三島市ー川之江市(以上、製紙工場のNaOHが原因と思われます)。
さらに室蘭(これは製鉄工場)、札幌、仙台(この2都市は人口増加による自動車の排気ガス)などが挙げられます。
大分県の海岸地区には大きな石油備蓄基地があります。その他、九州の患者の多い地区は工場とか人口密度で説明がつくと思います。
要するに、私が最近のアトピーの特徴として列挙した4番目、すなわち、大都市、工業都市に居住する患者の増加は、活性酸素を大量に発生する環境汚染でほとんど説明がつきます。
ただ、製紙工場にかぎり活性酸素は関与せず、そこから排泄される苛性ソーダ-正体は、苛性ソーダです。また画家やペンキ職人、シンアーを扱う仕事をする人などにアトピー性皮膚炎の症状が激しい患者さんが増えてきたことからみて、これは有機溶剤が角質の保湿機能を奪うためと考えられます。
先述したように、苛性ソーダの排泄が直接皮膚を刺激、あるいは皮膚の保湿作用を奪うこともアトピーの要因として考えられます。
皆さんが列車や自動車で伊予三島、川之江を通過するときに経験される、あの鼻をつくような“ツーン”とする異常なまでの刺激臭の正体、それが苛性ソーダです。