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アトピーがぐんぐん良くなる本

アトピーの権威、丹羽靭負先生の著書から、科学的にアトピーに対処するための情報を一部ご紹介します。

安易なステロイドの内服注射は絶対に避けよ

最近になってからやっと、皆さんが薬害の恐ろしさに気づき始めました。
副腎皮質ホルモン(ステロイド)の外用に敏感に、かつ神経質になり、必要以上にステロイド外用の弊害を誇張し、この治療法はなるべく、あるいは絶対的に避けようとする傾向が次第に強く浸透してきております。
私はすでに述べましたように抗癌剤、放射線、ステロイドなどの化学治療には非常に批判的です。
しかし、適切な化学薬品は場合によればぜひ必要だということを主張したいと思います。
私は、同位元素を使用する大きな個人の研究所を持ち、20年近く国際生化学学会の分野でも活躍している科学者であり、かつ強烈な自然回帰論者です。
その私が副作用の強い極端な化学薬品論にかたよらず、また、ヒステリックで小児病的な反公害運動にも関与せず、公正な立場で自然を愛する科学者としてご説明しますのでよくお読みください。

ステロイド剤は約30年あまり前にアメリカで開発され日本にやってきました。
たしかに、それまで思春期から年頃の娘さんが紅斑性ろうそう(SLE)や結節性動脈周囲炎(PN)などの恐ろしい膠原病にかかると、若くして必ず生命を奪われていましたが、このステロイドの出現で一命をとりとめるようになりました。
ただ、このステロイド内服剤の欠点、弊害もまた極めて大きいものであることを認識しなければなりません。

まず第一に、ステロイドを皮膚に塗ったのではなく、内服した場合について説明すると、ステロイド剤は症状を抑えているだけで、内服を中止すると元の木阿弥に戻ること。
次に、この薬は身体のすべての反応(よい反応も悪い反応も)を抑えるため、必然的に副作用が出るという点です。
例えば、身体にとって困る反応(熱、腫れ、痛み、発疹、かゆみ、喘鳴)を抑えるのはあり難いことですが、身体にとって必要な反応、筋肉の発育、骨の発育、黴菌やカビが侵入した時にこれを叩く反応なども抑えてしまいます。
その結果、長期間使用していますと骨がぼろぼろになり、筋肉がぼろぼろになり、胃潰瘍、糖尿病も発生し、さらに黴菌に対する抵抗力も低下し、抗生物質も効かなくなって肺炎や腎盂炎を起こし死亡することもあります。
(特にこの副作用は子供さんと老人に著明にみられます)。

さらに、もう一つ困った副作用は、もちろんステロイドを中止する元の症状がまさに爆発するように出るのですが、それ以上に、ステロイドをなんとか減量、中止しようとしますと麻薬の時のような禁断症状が出て、激しい頭痛、高度な目眩、耳鳴り、さらには呼吸困難を起こして死亡することさえあります。
これを医学用語でwithdrawal syndrome(withdrawalとは“内服を中止する”syndromeは“症状”という意味)と呼びます。
このような恐ろしい薬ですので、、もちろん私も西洋医学の教育を受けていますから、どうしてもという時は必要最少限の範囲で使用します。
ただ、それは、さきほどの紅斑性ろうそうや結節性動脈周囲炎のように放っておけば命を取られてしまう病気に限定しています。
ところが、最近の若いドクター達は非常に簡単に、安易にこのステロイドを使用し、命に関係のないリューマチや喘息、いえ、そればかりかさらに恐ろしい事にはアトピー性皮膚炎にまで内服を使用している医師をみかけます。

海水浴はアトピーの大敵

昔、フロンガスなどでオゾン層が破壊されず、地球上の殺菌上必要な、適量の紫外線が地上に照射されていた時代は、むしろ紫外線は黴菌の感染を合併したアトピー性皮膚炎などに必要とされ、特に紫外線の弱い北欧あたりでは夏、アトピー性皮膚炎に海水浴などの直射日光、紫外線による治療が奨励されていました。
ところが、すでに述べましたように、フロンガスによってオゾン層が破壊されたことで、地上の殺菌に必要とされる適量以上の紫外線が地球にとどき、過剰な活性酸素を発生させ、アトピー性皮膚炎を悪化させています。
特にこの2,3年夏に紫外線によって露出部を中心に悪化するアトピー性皮膚炎の患者さんがよく来られます。
若い学生さんや子供さんにはまことにお気の毒ですが、重症の患者さんは、夏は野外のスポーツ(野球、サッカーなど)は避けてください。
夏以外でも露出部に特に症状の激しい患者さんは紫外線を避けるような傘、帽子などを使用してください。

ついでに、水泳について申し上げておきます。
海水浴は禁止。
しかし、室内プールはOKです。
ただし、プールは水を腐らせないため大量のカルキが投入されていますので、(通常でも水道の水は汚染されているのでカルキの含有量が多い)、カルキによる皮膚炎の心配があります。
したがって、プールから出るときは、シャワーを普通の人の2倍も3倍もかぶってプール水をよく落としてから出してください。

先述したように、私が「海水浴は禁止」と言うと、以外そうな表情を浮かべる患者さんがいます。
たしかに、巷には「海水浴、紫外線、オゾン療法(オゾンは生体内では産生されませんが、活性酸素の一種です)がアトピー性皮膚炎によい」という説が流布され、実際にアトピー性皮膚炎の治療に用いられたりしています。
しかしこの結果、特に重症のアトピーの場合はますます悪化しているのが実情です。
ここで皆さんにぜひお考えいただきたいのは、皆さんが暮らしている「時代」と「場所」です。

フロンガスによるオゾン層の破壊などの環境汚染がなく、地球上に照射される紫外線の量が適量であった“古きよき時代”に、太陽光線が弱い高緯度の“北国”では、たしかに紫外線不足のためにアトピー性皮膚炎に黴菌がついて二次感染を起こすケースがあったでしょう。
こういう状態の患者さんには強力な殺菌力を有する活性酸素を発生する紫外線や、その紫外線を受ける海水浴、さらに活性酸素そのものであるオゾンが必要とされ、よく以前にスウェーデンやノルウェーなどの北欧の医学誌に“アトピー性皮膚炎に紫外線療法が有効”といったタイトルで研究論文が発表されていたものです。
しかし、そうした論文が書かれた「時代」と「場所」は、現在の私たちが置かれた生活環境とはまったくかけ離れたものです。
オゾン層が破壊され、紫外線が異常に強くなり、活性酸素がアトピー性皮膚炎悪化の主要原因の一つとなった今日、このような誤まった治療法は絶対にやめなければなりません。