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アトピーがぐんぐん良くなる本

アトピーの権威、丹羽靭負先生の著書から、科学的にアトピーに対処するための情報を一部ご紹介します。

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2007年07月31日

アトピーにみられる白内障、網膜剥離の合併も過酸化脂質が原因だった

重症アトピー性皮膚炎の患者さんで白内障、さらには網膜剥離という眼病変を合併しているケースをよく見かけます。
私のここ4年間の統計でも、アトピー性皮膚炎を反復、重症化して私の病院に入院された1000人あまりの患者さんのうち、約10−30%に白内障の合併がみられ、約3%に網膜剥離の合併があります。

この白内障の原因について考えると、図2のように、紫外線が眼のレンズにあたり、前述のような理由で活性酸素が発生し、眼球内の奥の網膜という所で、網膜は非常に脂(不飽和脂肪酸)の多い場所であるため、ここで過酸化脂質が生産され、その過酸化脂質が前方に送られ眼のレンズの内側に付着して(過酸化脂質は白濁した脂ですので)眼が見えにくくなる病気なのです。
一方、初めに、眼底の網膜で作られた過酸化脂質がそのままその場所で大量に作られていきますと網膜を傷つけ、剥がして網膜剥離が発生し視力障害がもたらされるのです。

ですから、白内障、網膜剥離が、重症アトピー性皮膚炎に合併して当然ですし、また逆に、この過酸化脂質によって起こる両目病変が重症のアトピー性皮膚炎にみられるという事実は、アトピー性皮膚炎の過酸化脂質原因説を裏付けることにもなります。

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2007年07月16日

血液検査でも証明される過酸化脂質値の異常

ちょうど以上の私の理論を裏付けるかのように、過去3年間にわたって私の病院に入院した数百人の重症アトピー性皮膚炎患者の血液を私の研究所で検査してみますと、患者の血液中には、前述の過酸化脂質の原料になる不飽和脂肪酸や低比重の脂質(リポ蛋白類)が健康対照群に比べて、異常に多く、したがって過酸化脂質値も当然高くなっています。また、この値は成人や重症患者ほど高く、過酸化脂質がアトピー性皮膚炎の症状にいかに関わっているかを示唆しているといえます。

私は、全国の病院や治療所で、抗癌剤を拒否した癌患者(特に末期)やステロイドの副作用でどうにうもならなくなった膠原病患者の診療を時々やっていて、この過酸化脂質を測定するように指示します。しかし、皆、商業ペースの請負でやっている検査センターに出して測定しているためか、過酸化脂質の測定に限って、正確な値が出たのを見たことが一度もありません。したがって、過酸化脂質の正確な値を知ろうとすれば、私の研究所をはじめ、活性酸素や過酸化脂質の研究を専門でやっているところに依頼してください(本当の値に非常に近い値がでてきます)。

2007年07月01日

重症化の一途をたどるアトピー性皮膚炎

さて、アトピー性皮膚炎の原因については様々な要素が考えられ、必ずしも一律に論じることはできませんが、すでに述べたように大気汚染をはじめとする近年の深刻な環境破壊が「現代型」アトピーの主犯であることは間違いありません。
私が日々接する重症のアトピー患者さんたちの住所が東海道ベルト地帯やその周辺の工業地域に集中している事実からも、このことは容易に推察できます。
「現代型」アトピーの患者さんの体の内部では一体何が起こっているのでしょうか?
私の研究所で測定したところ、アトピー性皮膚炎の患者さんは、健康人と比較すると不飽和脂肪酸が多く、SOD誘導能が低いという結果が出ています。

不飽和脂肪酸は活性酸素と結びついて過酸化脂質となり、血管、臓器、皮膚組織に付着して徐々に生体に障害を与えてしまうのですが、アトピー性皮膚炎の患者さんは、健康人と比較するると不飽和脂肪酸が多く、SOD誘導能が低いという結果が出ています。

不飽和脂肪酸は活性酸素と結びついて過酸化脂質となり、血管、臓器、皮膚組織に付着して徐々に生体に障害を与えてしまうのですが、アトピー性皮膚炎の患者さんの場合は、過酸化脂質が皮膚の最上層の角質層に付着して皮膚の水分機能を奪ってしまっているのです。

それでも、日本人が和食を好み、環境破壊が今ほど深刻化していなかった頃は「乾燥肌」にはなっても不飽和脂肪酸が増え、大気汚染に代表される環境破壊により体内で活性酸素が大量に作られるようになると、もともとSOD誘導能の低いアトピー体質の皮膚はひとたまりもありません。
こうして「現代型」アトピーが増加したのでした。
重症のアトピー性皮膚炎の患者さんでも、高知県土佐清水市にある私の病院に入院すると、たちまち快方に向かいます。
病院での治療もさることながら、当地が大気汚染とはまったく無縁の土地柄であることが治癒力を増しているのです。

また、薬品も細胞の内外で有害な活性酸素を産み出し、さまざまな難病、奇病、膠原病や一般の炎症疾患の原因となっています。
こうしてできた大量の活性酸素は、直接人体に発癌性物質、あるいは細胞障害性物質として作用するのですが、活性酸素は元来非常に強い作用力を持つ半面、作られるとすぐに消滅する性質をもっています。
そこで、この瞬時になくなってしまう活性酸素よりも作用力は強くないが、いつまでも体内に存在し、人体に様々な弊害を及ぼす過酸化脂質という変質した脂が注目されるのです。

活性酸素+脂質→過酸化脂質(不飽和脂肪酸)

この過酸化脂質は、前述のように酸素に脂質類、特に不飽和脂肪酸が反応してできる脂質で尿から排泄されず、表4に示しましたように、組織や臓器の表面や血管内壁、眼球レンズ内壁、皮膚などに付着、浸透し、徐々に組織や臓器の表面や血管壁をいためつけていく脂です。
このようにしてできた細胞障害性のある変質した脂が、アトピー重症化の大きな原因の一つになっています。

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